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抗老化物質:ウロリチンAはマイトファジーを誘導して線虫の寿命を延ばし、齧歯類では筋肉機能を増大する

Nature Medicine 22, 8 doi: 10.1038/nm.4132

代謝反応でのウロリチンの前駆体であるエラジタンニンは果物のザクロやナッツ類、ベリー類に含まれているために食物として摂取され、ヒトはその作用を広く受けている。にもかかわらず、ウロリチンの生物学的影響についてはまだ詳しく調べられていない。我々は、ウロリチンA(UA)が、経口摂取後にin vitroおよびin vivoの両方でマイトファジーを引き起こす、極めて優れた天然化合物であることを突き止めた。線虫の一種であるC. elegansでは、老化に伴って機能障害を起こしたミトコンドリアの蓄積がUAによって防止され、寿命が延長した。同様に、C. elegansの老化の間に、UAはミトコンドリアの呼吸能を維持し、運動性や咽頭ポンピングなどの機能が正常に維持される期間を延長した。このような影響は齧歯類でも認められ、老化に関連した筋肉機能低下の2種類のモデルマウスだけでなく、若齢ラットでもUAはその運動能力を向上させた。今回の知見は、ウロリチンAの健康への有益な影響と、ミトコンドリア機能と筋肉機能を改善する戦略へのその適用可能性を明らかにしている。

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