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HIV:HIV潜伏リザーバー内の細胞をウイルス再活性化後に殺すためのRIG-I経路刺激

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4124

抗レトロウイルス療法(ART)を行ったにもかかわらず、長寿命のCD4+ T細胞内に潜伏性HIVプロウイルスが存続することは、ウイルス根絶に対する重要な障害となっている。現在のlatency-reversing agent(LRA、潜伏ウイルスを再活性化させる)候補はHIV転写は誘導するが、このような細胞リザーバーを排除できないので、再活性化した潜伏HIVリザーバー細胞を殺す新たな方法が緊急に必要とされている。HIVの潜伏は、宿主DNAに挿入されたプロウイルスの転写停止と免疫防御機構の回避に依存している。このような防御機構には、パターン認識受容体(PRR)を用いてウイルス病原体を検出するものと、その次に働く感染細胞のアポトーシスを誘導するものという2種類の細胞内在性自然免疫応答が含まれる。RIG-I〔retinoic acid(RA)-inducible gene 1、DDX58にコードされる〕はPRRの1種で、ウイルスRNA認識後のアポトーシスと感染細胞の除去を仲介する。今回我々は、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されたRA誘導体であるアシトレチンがex vivoでRIG-Iシグナル伝達を増強し、HIV転写を増加させ、HIV感染細胞の選択的なアポトーシスを誘導することを示す。これらの効果は、DDX58のノックダウンによって消失する。アシトレチンはまた、抑制性ARTを受けているHIV陽性患者由来のCD4+ T細胞でプロウイルスDNAレベルを低下させ、この効果はヒストンデアセチラーゼ阻害剤であるスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)と併用することで増幅される。自然免疫の細胞性防御ネットワークの薬理学的増強は、潜伏HIVリザーバー中の再活性化細胞を取り除く手段となるだろう。

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