Brief Communication

がん:PI3KとmTORC1の同時阻害はHER2陽性乳がん脳転移患者由来の同所性異種移植片を担持するマウスで持続的寛解をもたらす

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4120

脳転移はHER2陽性乳がんの治療における最大の臨床的難問である。本論文では、HER2を発現している乳がん脳転移(BCBM)について、患者由来の同所性異種移植片(PDX)を生成し、併用標的療法の選定に用いたことを報告する。PI3KおよびmTORを組み合わせて同時に阻害すると、5つのPDXのうちの3つで持続的な腫瘍寛解が起こり、これらの治療応答性はmTORC1のエフェクターである4EBP1のリン酸化の低下と相関していた。治療応答性が見られなかった2つのPDXではゲノムに高頻度で変異が生じており、DNA修復遺伝子に変異が集中していることが明らかになった。このことからゲノムの不安定性と治療抵抗性との関連が考えられる。今回の結果からすると、HER2陽性BCBM患者に関しては、PI3K阻害剤とmTOR阻害剤との併用についてバイオマーカーに重点をおいた臨床試験を行うべきであろう。

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