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がん:MYC-オーロラキナーゼAタンパク質複合体はp53に変化が生じている肝がんで実用化可能な薬剤標的である

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4107

がん遺伝子の産物であるMYCタンパク質は、ヒト腫瘍の大部分でその形成と維持に関与しているが、MYCを標的とする創薬は困難であると考えられている。我々は、直接的in vivo shRNAスクリーニングを用いて、腫瘍抑制タンパク質p53をコードする遺伝子(マウスではTrp53、ヒトではTP53)に変異が生じていて、腫瘍性タンパク質NRASにより進行している肝がんの細胞が、オーロラキナーゼA(AURKA)を介する機構によるMYC安定化に依存性となることを示す。このMYC安定化によって、腫瘍細胞がAURKAと腫瘍抑制タンパク質p19ARFにより仲介される潜在的なG2/M細胞周期停止を乗り越えられるようになる。MYCはAURKAに直接結合するが、このタンパク質間相互作用をAURKA阻害剤(コンホメーション変化を起こさせる)によって阻害すると、MYCの分解と細胞死が引き起こされる。このようなコンホメーション変化を起こさせるAURKA阻害剤(1つは現在早期臨床試験が行われている)は、Trp53が欠失し、NRAS駆動性でMYCを発現する肝細胞がん(HCC)を担持するマウスで腫瘍増殖を抑制し、生存期間を延長した。TP53変異ヒトHCCではAURKAの発現が増加していて、AURKA発現とMYC発現の間には正の相関が見られた。異種移植モデルでは、TP53変異あるいはTP53欠失が起こっているヒトHCCを担持するマウスはコンホメーション変化を起こさせるAURKA阻害剤による治療に高い感受性を示すので、この種の阻害剤はヒトHCCの一部に対する治療戦略となると考えられる。

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