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がん:EGFR特異的抗体セツキシマブと化学療法の併用は免疫原性細胞死を引き起こす

Nature Medicine 22, 6 doi: 10.1038/nm.4078

セツキシマブは転移性大腸がん(mCRC)の治療に有効なモノクローナル抗体である。セツキシマブは上皮増殖因子受容体(EGFR)とリガンドの相互作用を遮断し、下流のRAS-ERK活性化を阻害する。しかし、セツキシマブの有効性に影響を与えるのはRAS活性化変異の一部だけであって、治療成功に他の何が関わっているのかは明らかになっていない。我々は、セツキシマブが強力な抗腫瘍応答を活性化する免疫原性細胞死(immunogenic cell death:ICD)を誘導すると推論した。セツキシマブは、化学療法と併用するとCRC細胞でICDを促進した。我々はこれを小胞体ストレス応答や樹状細胞によるファゴサイトーシスの増加を介して評価した。ICDの誘導はEGFRシグナル伝達経路の変異状態や、折りたたみ不全タンパク質応答(UPR)のメディエーターであるXBP1(X-box binding protein 1)のスプライシング阻害に依存していた。また、ヒトEGFRを発現するCRCのマウスモデルでセツキシマブが引き起こす免疫原性増強が確認された。まとめると、今回の結果はセツキシマブの免疫に関連した新規な作用機構を明らかにしており、これは個別化医療の最適化に役立つ可能性がある。

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