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感染症:新規な細菌プロテアーゼによるBacteroides fragilis毒素の活性化はマウスでの嫌気性菌による敗血症に関わっている

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4077

バクテロイデス属細菌のBacteroides fragilisは嫌気性菌による菌血症や敗血症の主な原因である。B. fragilis毒素(BFT:フラジリシン)を産生する腸内毒素原性株は、大腸炎や腸の悪性腫瘍の一因となるが、血流感染でも分離されている。これらの株が独自の遺伝的決定因子を持っていて、腸管外部での疾患でも病原となるのかどうかは分かっていない。我々は、BFTがマウスの敗血症に関与することを実証し、B. fragilisのfragipain(Fpn)と名付けられたプロテアーゼの存在を突き止めた。fragipainは、BFTの自己阻害プロドメインを除去してBFTを内因的に活性化するのに必要とされる。Fpnの構造解析から、多数の病原性バクテロイデス属細菌(Bacteroides)種やクロストリジウム属細菌(Clostridium)種で保存されているC11ファミリー・システインプロテアーゼの特徴となっているHis–Cysという触媒性二残基が明らかになった。Fpnを欠く腸内毒素原性B. fragilisはマウスに敗血症を誘導する能力が低下していたが、FpnはB.fragilisによる大腸炎には必要でなく、この場合は宿主のプロテアーゼがBFT活性化を仲介した。我々の知見は、B. fragilisのエンテロトキシンの役割と、血流感染の病因に関わる活性化プロテアーゼを明らかにしており、このことはBFT産生細胞の標的化やBFT活性がこれまで考えられていたよりも複雑であることを示している。fpnは毒性株および非毒性株の両方で発現していることから、このプロテアーゼは毒素活性化に果たす役割とは異なるやり方で、嫌気性菌による敗血症を引き起こしているのかもしれない。従って、fragipainは疾患を調節するための標的となる可能性がある。

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