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骨代謝:LGR4はRANKLの受容体で破骨細胞分化と骨吸収を負に調節する

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4076

TNFSF11(tumor necrosis factor superfamily member 11:別名RANKL)は、破骨細胞の分化や骨粗鬆症などの多数の生理的あるいは病的機能を調節している。TNFRSF11A(別名RANK)はRANKLの唯一の受容体と考えられている。今回我々は、LGR4(leucine-rich repeat-containing G-protein-coupled receptor 4:別名GPR48)がRANKLのもう1つの受容体であることを報告する。LGR4はRANKLとの結合でRANKと競合し、破骨細胞分化の際の標準的なRANKシグナル伝達を抑制する。LGR4にRANKLが結合すると、GαqおよびGSK3-βシグナル伝達経路が活性化され、この作用によって破骨細胞生成中のNFATC1(nuclear factor of activated T cells, cytoplasmic, calcineurin-dependent 1)の発現と活性が抑制される。Lgr4を全身的に欠失するマウス(Lgr4−/ −)および単球でLgr4を条件的ノックアウトしたマウス(Lgr4 CKO)はどちらも、破骨細胞の過剰な活性化(破骨細胞の数、表面積、サイズの増加など)と骨侵食の増加を示す。可溶性のLGR4細胞外ドメイン(ECD)はRANKLに結合し、in vivoで破骨細胞分化を抑制する。さらに、LGR4-ECDは3種類の骨粗鬆症マウスモデルでRANKL誘導性骨量減少を抑制して治療効果をもたらす。従って、LGR4は第2のRANKL受容体として働き、破骨細胞分化と骨吸収を負に調節している。

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