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結核:ヒト結核性肉芽腫での炎症性シグナル伝達は空間的に組織化されている

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4073

肉芽腫は結核の顕著な病理学的特徴である。しかし、肉芽腫の機能や形成機構はよく分かっていない。今回、結核における肉芽腫の役割を解明するために、結核患者由来の肉芽腫のプロテオームについて不偏的な解析を行い、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法、質量分析、共焦点顕微鏡観察法を用いて、ヒト肉芽腫の詳細な分子マップを作製した。肉芽腫の中心部は炎症促進環境であって、抗微生物ペプチド、活性酸素種、炎症促進性エイコサノイド類の存在によって特徴付けられることが分かった。逆に、中心の乾酪物質を取り囲む組織はいくぶん抗炎症性のシグネチャーを示す。これらの知見は研究対象となったヒト患者集団の6人、およびウサギで一貫して見られた。炎症促進性シグナルと抗炎症性シグナルの全身的なバランスは結核の転帰に重要だが、これらのシグナルは個々の肉芽腫内では物理的に隔離されていることが明らかになった。今回解析されたヒトおよびウサギの病変部のタンパク質や脂質の存在量と分布から、肉芽腫の発達過程でこれらの炎症経路が解剖学的に適切な場所に局在することによって、結核に対する病的応答が形作られると我々は考える。

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