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がん:RORγはアンドロゲン受容体の発現を促進し、去勢抵抗性前立腺がんの治療標的となる

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4070

アンドロゲン受容体(AR)は、ヒト去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)では過剰に発現し、過活性化している。しかし、CRPCでのAR過剰発現の決定因子についてはよく分かっていない。本論文では、転移性CRPCではRORγ(retinoic acid receptor-related orphan receptor γ)が過剰発現し、増幅されていること、また腫瘍ではRORγがAR発現を促進していることを示す。RORγはNCOA(nuclear receptor coactivator:別名SRC)1および3をAR-RORE(ROR response element)に動員し、AR遺伝子の転写を活性化する。RORγのアンタゴニストは、前立腺がん(PCa)細胞株や腫瘍組織でARおよびそのバリアントであるAR-V7の両方の発現を抑制する。RORγアンタゴニストはまた、ARの結合、H3K27acの存在量およびAR標的遺伝子のネットワークの発現をゲノム全体にわたって顕著に低下させる。さらに、RORγアンタゴニストはARを発現する複数の異種移植PCaモデルでの腫瘍増殖を抑えたが、ARが発現していないモデルではこのような影響は見られなかった。またマウスでは、RORγアンタゴニストが、明らかな毒性を生じることなく、CRPC腫瘍を効果的にエンザルタミド感受性にした。まとめると今回の結果は、CRPCではRORγがARの上流で作用することで重要な役割を果たしていて、進行PCaでの有望な治療標的となることを示している。

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