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がん:c-Metが仲介するPARP1リン酸化の遮断はPARP阻害剤の抗腫瘍効果を増強する

Nature Medicine 22, 2 doi: 10.1038/nm.4032

ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤は、がんなどの多くの疾患に対する有望な治療薬であることが臨床試験で明らかになっている。PARP阻害剤の1つのolaparib(Lynparza、アストラゼネカ社)は、BRCA遺伝子群に変異が生じている卵巣がんの治療薬として、最近FDAによって認可された。BRCA1とBRCA2はDNA二本鎖切断修復に重要な役割を担っており、BRCAタンパク質の欠損はがん細胞をPARP阻害感受性にする。今回我々は、受容体型チロシンキナーゼのc-MetがPARP1と結合し、そのTyr907をリン酸化する(PARP1 pTyr907あるいはpY907)ことを示す。PARP1 pY907はPARP1の酵素活性を上昇させ、PARP阻害剤への結合を低下させ、それによってがん細胞をPARP阻害に耐性にする。c-Met阻害剤とPARP1阻害剤を併用すると、相乗作用によってin vitroでの乳がん細胞増殖や乳がんの異種移植片腫瘍モデルでの増殖が抑制される。また、同様の相乗効果は肺がんの異種移植片腫瘍モデルでも観察された。これらの結果は、PARP1 pY907の存在量によって腫瘍のPARP阻害剤への耐性を予測できる可能性を示している。またc-Met阻害剤とPARP1阻害剤の併用は、c-Metが高発現している腫瘍や、PARP阻害剤のみには応答性を示さない腫瘍を持つ患者でも効果があるかもしれない。

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