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がん治療:肝転移における血管新生阻害療法への耐性は血管吸収により生じる

Nature Medicine 22, 11 doi: 10.1038/nm.4197

がんでの血管新生阻害剤の効果は耐性機構によって制限されており、この機構はまだ十分に解明されていない。腫瘍の脈管形成は、血管新生誘導ではなく、血管吸収という非血管新生機構を介して起こる。本研究では、大腸がん肝転移の患者では、血管吸収が血管新生阻害剤ベバシズマブへの低い反応性と関連していることを示す。さらに、血管吸収はヒト乳がんの肝転移でもよく見られることが分かったが、そのような場合には血管新生阻害療法の結果が期待に反するものとなる。前臨床で行われた機構研究では、Arp2/3複合体(actin-related protein 2/3)を介したがん細胞の運動性が、in vivoでの肝転移の血管吸収に必要であることが明らかになり、こうした場合には血管新生と血管吸収を組み合わせて阻害する方が、血管新生阻害単独よりも有効性が高かった。従って、血管吸収は血管新生阻害療法への耐性の機構と臨床的関連があり、血管新生と血管吸収の阻害を併用することはより確かな治療戦略となると考えられる。

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