Analysis

がん:18種類のがんで調べたマイクロサテライト不安定性の分類と特性

Nature Medicine 22, 11 doi: 10.1038/nm.4191

マイクロサテライト不安定性(MSI)とは、DNA反復配列のヌクレオチドが自然発生的に欠失あるいは増加することであり、胃腸、子宮内膜、大腸の腫瘍の診断で見られる表現型だが、より多くの種類のがんにわたって見られる、こうした不安定性事象の全体像についてはほとんど分かっていない。我々はMSIを悪性腫瘍全体にわたって調べるために、18種類のがんから得られた5,930のがんエキソームについて200,000か所以上のマイクロサテライト領域を解析し、MSIのゲノム分類基準を構築した。18種類のがんのうち14種類でMSI陽性腫瘍が見つかった。また、特定種類のがんでより不安定化しやすい座位が明らかになり、これらの座位からがん関連遺伝子を含む特異的な不安定性のシグネチャーが得られた。こうした不安定性のパターンは選択圧を反映したものであり、将来的に新規のがんドライバーの発見につながる可能性がある。さらに、生存転帰と不安定なマイクロサテライトの全体的な負荷の間には相関が見られた。このことから、MSIはそれぞれが分離しているわけではなく、がん全般に対して有益な情報を与える連続した表現型である可能性が考えられる。これらの解析は、MSIが持つがん特異的な保存された特性についての手掛かりを与えるもので、また臨床的なMSI診断やがん遺伝子発見のための手法を改善する機会をもたらすだろう。

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