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心疾患:長鎖ノンコーディングRNA Chaerは心肥大におけるエピジェネティックなチェックポイントを規定する

Nature Medicine 22, 10 doi: 10.1038/nm.4179

エピジェネティックな再プログラム化は、心臓の肥大やリモデリングの際の病因遺伝子誘導の重要な過程だが、その基盤となる調節機構についてはまだ解明されていない。我々は、心臓で高発現する長鎖ノンコーディング(lnc)RNAを見つけ出してChaercardiac-hypertrophy-associated epigenetic regulator)と命名し、これが心肥大の発生に必須であることを明らかにした。機構的には、ChaerはPRC2(polycomb repressor complex 2)の触媒サブユニットと直接結合する。この結合はChaer中の66個の塩基からなるモチーフを介して起こり、PRC2が標的とするゲノム遺伝子座と結合するのを妨害し、その結果として心肥大に関与する遺伝子のプロモーター領域でヒストンH3リシン27のメチル化を阻害する。ChaerとPRC2の間の相互作用は、ホルモンやストレスによる刺激を受けた後にmTORC1(mammalian target of rapamycin complex 1)の関与する過程を介して一過的に誘導され、エピジェネティックな再プログラム化や心肥大に関与する遺伝子の誘導に必須である。圧負荷発症の前に心臓でのChaer発現を抑制すると、心肥大と心機能低下が大幅に軽減されたが、圧負荷発症後の抑制では軽減は見られなかった。我々の研究は、心臓でストレスによって誘導される病因遺伝子活性化に、これまでに知られていなかったlncRNA依存性のエピジェネティックなチェックポイントが必要であることを示している。

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