Letter

免疫:粘膜およびリンパ組織でのヒトT細胞の分化および調節機能の幼年期における区画化

Nature Medicine 22, 1 doi: 10.1038/nm.4008

幼児期の免疫応答が、多様な新しい抗原に対して防御を達成しながら、同時に過剰な活性化を回避するように適切に刺激される仕組みは明らかになっていない。T細胞は適応免疫に不可欠であり、マウスを使った研究では、T細胞サブセットの組織局在が防御免疫と免疫調節の両方に重要であることが示されている。しかしながらヒトでは、組織内のT細胞の早期の発生と機能は調べられていない。今回我々は、生後2年間の小児臓器ドナー由来リンパ系T細胞および粘膜系組織T細胞を成人臓器ドナーのものと比較し、T細胞の分化と調節の早期の区画化を明らかにした解析について報告する。成人組織では記憶T細胞が優勢であるのに対して、小児の血液および組織では、主なサブセットはナイーブな新生胸腺移出細胞から構成されており、 エフェクター記憶T細胞(TEM)は肺と小腸でだけ見つかった。また、制御性T(Treg)細胞は、小児組織のCD4+ T細胞で高い頻度(30〜40%)で見られたのに対し、成人組織での頻度はずっと低かった(1〜10%)。小児組織のTreg細胞は内在性のT細胞活性化を抑制し、早期T細胞機能性はTreg:TEM細胞比が最も低い粘膜部位に限局していて、これは幼年期における免疫応答の組織内制御を示唆している。

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