Perspective

幹細胞:加齢に伴う再生不全に筋幹細胞が担う中心的役割

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3918

骨格筋の量、機能、修復能は、どれもが加齢に伴って徐々に低下し、運動性、自発的機能や生活の質が制限されるようになる。骨格筋の修復は、修復を専門とする筋幹細胞(MuSC、衛星細胞としても知られる)の集団によって促進され、こうした細胞は筋組織内の解剖学的に限定されたニッチに常在している。成体組織ではMuSCは静止状態を維持していて、損傷を受けた筋肉を再生させる際には、それに先立って自己複製のための分裂が複数回行われる。筋組織の恒常性は加齢に伴って次第に破綻し、損傷を受けた筋肉を修復するMuSCの能力は顕著に低下する。これまで、このような低下は主にMuSCが曝露されている微小環境で加齢に関連して起こる外因性の変化によって引き起こされると考えられていた。しかし、本総説で明らかにするように、MuSCも徐々に本質的な変化を起こし、これが幹細胞の再生機能に深甚な影響を与えることが、最近の研究で明らかになりつつある。幹細胞に内在する要因と外的要因の相互作用をもっと包括的に解明することは、高齢者の組織恒常性を回復し、筋修復機能を増強できるように細胞治療を改善するための土台となるだろう。

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