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自己免疫疾患:関節リウマチでは口腔および腸のマイクロバイオームが擾乱されるが、治療後には部分的に正常化する

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3914

今回我々は、関節リウマチ(RA)患者コホートおよび対照となる健常者集団から得られた糞便、歯および唾液試料のメタゲノムショットガン塩基配列解読とメタゲノム規模の関連解析(MGWAS)を行った。腸と口腔のマイクロバイオーム間では一致が見られ、異なる体の部位で菌種の存在数と機能に重複があることが示唆された。RA患者の腸および口腔のマイクロバイオームでは細菌種の構成異常が見られたが、これはRAの治療後に部分的に解消した。腸、歯、唾液のマイクロバイオームの変化によってRA患者と健常対照者を識別することができ、これは臨床的尺度と相関していて、治療応答性に基づく患者の層別化に使える可能性が考えられる。特に、ヘモフィルス属(Haemophilus spp.)は、RA患者では体の3つの部位すべてで減少しており、血清中自己抗体レベルとの間に負の相関が見られたが、乳酸菌の一種であるLactobacillus salivariusは、RA患者では3つの部位すべてで大きな比率を占めており、非常に活動性の高いRA症例ではその量が増加していた。機能に関しては、RA患者のマイクロバイオームではレドックス環境、鉄、イオウ、亜鉛およびアルギニンの輸送と代謝が変化していた。また、RAに関連するヒト抗原の分子擬態も検出された。我々の結果は、RA患者の腸と口腔のマイクロバイオームにおける特異的変化を確認したもので、マイクロバイオームの組成が予後予測や診断に使える可能性が考えられる。

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