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がん:大腸でのDNA-PKとAktを介した腫瘍発生の抑制にAIM2が果たすインフラマソームと無関係の役割

Nature Medicine 21, 8 doi: 10.1038/nm.3908

インフラマソームはカスパーゼ1の活性化に加えて、インターロイキン1β(IL-1β)とIL-18の放出を活性化し、いくつかのインフラマソームは動物モデルで腸の炎症と腸炎随伴性大腸がん(CAC)を防止する。AIM2(absent in melanoma 2)インフラマソームは二本鎖DNAによって活性化され、またAIM2の発現は複数種のがんで低下しているが、AIM2が腫瘍増殖を抑制する機序は不明である。我々は、大腸がんのアゾキシメタン/デキストラン硫酸ナトリウム(AOM/DSS)モデルで、Aim2欠損マウスはAsc欠損マウスよりも腫瘍量が多くなることを見いだした。Aim2−/−/ApcMin/+での腫瘍負荷も、ApcMin/+マウスより高かった。AIM2がCACに及ぼす影響は、インフラマソーム活性化やIL-1βとは無関係で、主にAIM2の非骨髄供給源が関わっていた。静止期細胞では、AIM2はDNA-PK(DNA-dependent protein kinase:Aktリン酸化を促進するPI3K関連ファミリーのメンバー)と物理的に相互作用してその活性化を制限するが、AIM2の欠損はDNA-PKを介したAkt活性化を促進した。AIM2は大腸がんモデルでAkt活性化と腫瘍負荷を低下させ、その一方でAkt阻害剤はAim2−/−マウスで腫瘍細胞量を減少させた。これらの知見は、Akt阻害剤がAIM2を欠損するヒトがんの治療に使える可能性を示唆している。

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