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がん:シクロフィリンA–CD147複合体は多発性骨髄腫細胞の増殖とホーミングを促進する

Nature Medicine 21, 6 doi: 10.1038/nm.3867

B細胞性悪性腫瘍は、骨髄にコロニーを形成することが多い。この選択的なホーミングを引き起こす機構は完全には解明されていない。本研究では、骨髄選択的にコロニーを形成する、最終分化したB細胞性悪性腫瘍のモデルとして、多発性骨髄腫(MM)について調べた。骨髄内皮細胞(BMEC)から分泌される細胞外CyPA(eCyPA)が、in vivoスキャホールド系でMM細胞上の受容体CD147に結合し、それによってMM細胞のコロニー形成と増殖を促進することが分かった。BMECによるeCyPAの発現と分泌は、BCL9によって亢進された。BCLは、BMECで選択的に発現されるWnt-βカテニン経路の転写コアクチベーターである。MM患者でのeCyPAレベルは、末梢血に比べて骨髄血清で高く、eCyPA-CD147を遮断すると、in vivoスキャホールド系でのMMのコロニー形成と腫瘍増殖が抑制された。これらとは別のB細胞性悪性腫瘍である慢性リンパ球性白血病とリンパ形質細胞性白血病も、骨髄にコロニーを形成しCD147を発現するが、eCyPAはこれら2つでも細胞の移動を促進した。以上の知見は、eCyPA-CD147シグナル伝達がB細胞性悪性腫瘍の骨髄ホーミングを促進することを示唆しており、これらの悪性腫瘍に対する治療標的として、この経路を調べることの合理的根拠を示している。

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