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がん:胃がんの分子解析によって明らかにされた、異なる臨床転帰に結びつくサブタイプ

Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3850

がん関連死の主要原因の1つである胃がんは、不均一性のある疾患である。本研究では、この不均一性を反映させた、さらに有益な臨床情報を提供する可能性のある臨床的分子サブタイプの確立を試みた。分子変化、疾患進行および予後のパターンが異なる4つの分子サブタイプについて、遺伝子発現データを用いて説明する。間葉様サブタイプにはびまん型の腫瘍が含まれ、予後が最も不良であり、若い時期に発症する傾向が見られ、4つのサブタイプ中で再発率が最も高い(63%)。マイクロサテライト不安定性が見られる腫瘍は、噴門に生じ変異が高頻度で見られる腸型サブタイプで、全体的な予後が最も良く、再発率が4つの中で最も低い(22%)。TP53(tumor protein 53)活性サブタイプおよびTP53不活性サブタイプには、予後と再発率が他の2つのサブタイプと比べた場合に中間的な値を示す患者が含まれ、この2つの間ではTP53活性サブタイプ群の方が予後が良好である。これら4つのサブタイプのそれぞれについて、標的塩基配列解読とゲノム全域でのコピー数マイクロアレイを用いて重要な分子変化が明らかにされた。さらに、臨床的研究や前臨床的なトランスレーショナル研究をさらに進めるための一貫性があり統一された枠組みを作り出すために、これらのサブタイプについて独立したコホートで検証が行われている。

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