Letter

血友病:血友病での血液凝固系のバランスを回復し止血を促すための、アンチトロンビンを標的とするRNA干渉薬

Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3847

血友病AおよびBは遺伝性の出血性疾患で、それぞれ凝固因子VIII(FVIII)あるいは凝固因子IX(FIX)の欠乏が特徴である。血友病患者、特に凝固因子補充療法を阻害するような抗体が存在する患者では、メディカルニーズが充たされておらず、予防的に使用して効果的な止血を引き起こす新規な改良型の薬剤は存在しない。血栓形成促進性変異が共遺伝することが血友病の臨床表現型を軽減する可能性を示唆するこれまでの研究結果にヒントを得て、我々は今回、血友病で止血を促進するために、アンチトロンビン(AT)を標的とするRNA干渉(RNAi)薬ALN-AT3を開発した。野生型マウス、血友病Aを発症したマウス、非ヒト霊長類でALN-AT3を皮下注射すると、強力かつ用量依存的で持続性のあるAT濃度低下が観察された。非ヒト霊長類では、体重1 ㎏あたりおよそ0.125 mgを週に一度投与することでAT濃度は50%低下し、週間用量1.5 mg/kgでATがほぼ完全に消失した。ALN-AT3の投与により、血友病モデルマウスでは止血が増進され、抗VIII因子である阻害抗体が生じている非霊長類血友病Aモデルではトロンビン産生が改善された。この被験化合物については現在、血友病AもしくはBの被験者で第I相臨床試験が進行中である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度