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がん:活性なPin1は、急性前骨髄球性白血病および乳がんで全trans-レチノイン酸の主要な標的である

Nature Medicine 21, 5 doi: 10.1038/nm.3839

独特なイソメラーゼのPin1は、複数種の腫瘍で発がん性シグナル伝達経路に共通して存在する主要な調節因子である。しかし、利用可能なPin1阻害剤は、in vivoでPin1機能を阻害するのに必要な特異性を欠き、有効性も低い。全trans-レチノイン酸(ATRA)は急性前骨髄球性白血病(APL)の治療薬で、がんでの標的療法の最初の例とされているが、その薬剤標的はまだはっきり分かっていない。今回我々は、反応機構を基盤とするスクリーニングを行って、がん細胞では全trans-レチノイン酸(ATRA)が活性なPin1を選択的に阻害し、分解することを明らかにした。この阻害は、Pin1活性部位中の基質であるリン酸が結合するポケットやプロリンが結合するポケットにATRA が直接結合することによっている。ATRAが誘導するPin1除去によって、融合がん遺伝子PML-RARAにコードされているタンパク質の分解が引き起こされ、これによってAPLの細胞や動物モデル、さらにヒトのAPL患者でもAPLに対する治療効果が見られるようになる。ATRAが引き起こすPin1除去は、Pin1の基質である多くのがん遺伝子や腫瘍抑制因子に作用することにより、ヒト細胞および動物モデルでのトリプルネガティブ乳がん細胞の増殖も強力に抑制した。このように、ATRAはPin1が調節する多数のがん駆動経路を同時に遮断するので、侵襲性および薬剤耐性の腫瘍の治療に用いるのに望ましい特性を備えている。

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