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心疾患:骨髄由来増殖因子(C19orf10)は心筋梗塞後の心臓修復を仲介する

Nature Medicine 21, 2 doi: 10.1038/nm.3778

パラクリン作用性タンパク質は、心筋梗塞(MI)後に骨髄細胞を用いて行われる治療が組織修復と心機能を改善する際の中心的機構であることが明らかになりつつある。我々は、急性MI患者の骨髄細胞に含まれる治療能力のある新規分泌タンパク質を探し出す目的で、バイオインフォマティクスによるセクレトーム解析を行った。機能スクリーニングによって、第19染色体上のオープンリーディングフレーム(C19orf10)にコードされている分泌タンパク質が、心筋細胞の生存と血管新生を促進することが突き止められた。骨髄由来単球とマクロファージはこのタンパク質を内因的に分泌し、MI後の心臓の保護と修復を行う。我々はこのタンパク質をMYDGF(myeloid-derived growth factor)と命名した。Mydgfを欠損するマウスでは、野生型マウスと比べると梗塞瘢痕がより大きくなり、重篤な収縮不全が見られるが、組換えMydgfの投与はMI後の瘢痕サイズと収縮不全を軽減する。この結果は、MYDGFの生物学的機能を明らかにした最初の研究であり、虚血性組織修復のためのタンパク質を用いる治療法開発の原型となる可能性がある。

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