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白血病:PU.1のわずかな減少は前白血病状態を誘導し、急性骨髄性白血病の発症を促進する

Nature Medicine 21, 10 doi: 10.1038/nm.3936

ヒトのがんでは、転写の中程度の変化が遺伝学的機序、あるいはエピジェネティックな機序によって引き起こされていることが多い。マウスでは造血関連転写因子のPU.1の減少、あるいはほぼ完全な喪失が起こると急性骨髄性白血病(AML)が誘導されるが、ヒトのAMLではPU.1のこれと同程度の損傷は非常にまれである。だが、PU.1の中程度の阻害はAML患者で広く見られる。我々は、ヒトの幹細胞の老化の際に見られるのと同程度のDNA損傷を持つマウスでの白血病発症に、PU.1発現の中程度の低下が及ぼす機能的な影響を評価した。PU.1のエンハンサーの欠失がヘテロ接合で存在すると、PU.1の発現が35%低下する。このような低下は、骨髄系に偏向した前白血病幹細胞を誘導し、続いてそれらがDNAミスマッチ修復を欠く状況下でAMLへ形質転換するのに十分だった。AMLへのプログレッションは、PU.1と協働的に働く転写因子Irf8の発現阻害を介していた。我々は、このようなマウスでの病態とヒトでの骨髄異形成症候群およびAMLの間に顕著な分子的類似性を見いだした。細胞系譜特異的な主要転写因子のごくわずかな減少はヒトの疾患でよく見られるが、本研究はこれががんの発生に十分であることを実証するもので、このことからAMLでの前白血病性幹細胞の形成とプログレッションの機構についての手掛かりが得られる。

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