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加齢性筋萎縮:ほとんど体を動かさない成体マウスでは、衛星細胞の誘導性除去がサルコペニアに影響することなく筋再生能を障害する

Nature Medicine 21, 1 doi: 10.1038/nm.3710

老齢者の脆弱性をもたらす重要な決定要因はサルコペニアであり、これは加齢に伴う骨格筋の量と強度の低下である。サルコペニアの原因は不明だが、老化の際には内在性筋幹細胞である衛星細胞の活性低下と筋再生能の障害が相関することから、衛星細胞の活性低下もサルコペニアの原因の1つであると考えられるようになっている。我々は、若齢成体期のマウスから、処置後の生存期間を通して筋再生を障害するのに十分な程度まで衛星細胞を除去し、その結果としてほとんど体を動かさなくなった雄マウスを用いてこの仮説を検討した。このようなマウスの多様なコホート中から、加齢過程のさまざまな時点で多数の筋肉標品が採取され、その詳細な解析から、再生能の低下にもかかわらず筋肉は正常のサイズを維持しているが、繊維化が多く見られることが分かった。これらの結果は、衛星細胞数の一生にわたって続く減少はサルコペニアを促進も悪化もさせないこと、また衛星細胞は加齢の間の筋肉サイズや繊維類の組成維持には関与していないこと、しかし衛星細胞数の減少は加齢に関連する筋繊維化の一因となっている可能性があることを示唆している。

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