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免疫:円形脱毛症は細胞傷害性Tリンパ球によって引き起こされ、JAKの阻害により回復する

Nature Medicine 20, 9 doi: 10.1038/nm.3645

円形脱毛症(AA)はよく見られる自己免疫疾患であり、T細胞による毛包の傷害に起因する。AAでの自己反応性T細胞活性化に必要な免疫経路は明らかにされておらず、合理的な標的治療の臨床開発を阻んでいる。全ゲノム関連解析(GWAS)によって、NKG2D受容体(KLRK1遺伝子の産物)のリガンドがAAの病因に関係していることが示された。本論文では、細胞傷害性CD8+NKG2D+ T細胞が、マウス疾患モデルでのAAの誘導に必要かつ十分であることを示す。マウスとヒトAA皮膚の網羅的な転写プロファイリングによって、細胞傷害性T細胞浸潤、インターフェロンγ(IFN-γ)応答、IFN-γを産生するCD8+NKG2D+エフェクターT細胞の活性化と生存を促進することが知られている複数のγ鎖(γc)サイトカインの上方制御を示す遺伝子発現シグネチャーが明らかになった。治療については、IFN-γ、インターロイキン2(IL-2)あるいはインターロイキン15受容体β(IL-15Rβ)を、抗体を使って阻害すると疾患の進行が防止され、AAのマウスモデルでは皮膚で見られるCD8+NKG2D+T細胞集積や、IFN応答が軽減された。IFN-γやγcサイトカイン受容体の下流のエフェクターであるJanusキナーゼ(JAK)ファミリータンパク質チロシンキナーゼに対する薬理学的阻害剤の全身投与により、IFNに関連する遺伝子発現シグネチャーが消失し、AAの発症が阻止された。一方、このような阻害剤の局所的投与は、毛髪の再成長を促進し、 既に発症している疾患を回復させた。JAK1およびJAK2の阻害剤であるルクソリチニブを経口投与した3名の患者では、5か月間の投与の間に毛髪のほぼ完全な再成長が達成され、これはヒトAAでのJAK阻害が臨床的に有用となる可能性を示唆している。

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