Review

再生医学:肺の再生 — その機構、応用および新しい幹細胞集団

Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3642

呼吸器系には、傷害によって失われた細胞や損傷を受けた細胞を再生する大きな損傷応答能力があることが、最近の研究で示されている。異常が生じていない成体肺は高い静止状態を維持しているが、損傷を受けた後には前駆細胞集団が活性化されたり、残存する細胞が細胞周期へ再進入したりすることがある。細胞系譜追跡やトランスクリプトーム解析などの手法により、肺や気管が損傷に応答して再生する仕組みについての今まで知られていなかった興味深い知見が得られるようになり、また、肺の発生や再生に重要な経路が突き止められた。このような研究方法は、内因性の再生を促進する可能性のある経路の調節だけでなく、多能性幹細胞からの外因性肺細胞系譜の作出にとっても有用となりつつある。本総説で取り上げている新たな進展は、基本的な機構的研究のための新しい技術やアッセイ法だけでなく、ヒト疾患の新しいモデル系や細胞置換戦略にもつながるものだ。

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