Technical Report

NMDレポーター:細胞内カルシウムはナンセンス介在性mRNA分解を調節する

Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3620

ナンセンス介在性mRNA分解(NMD)経路は、翻訳途中に終止コドンが生じた異常な転写産物を選択的に除去して、生理的作用を持つmRNAの数を調節する。NMDは、がんや多くの遺伝病などのさまざまなヒト疾患の臨床転帰に関わっており、治療介入の標的になる可能性がある。今回我々は、生きているヒト細胞でNMDを特異的かつ効率的に分析できる多色の生物発光レポーター系を開発した。これを使って、ヒト細胞で低分子のロバストなハイスループットスクリーニングを行い、ウワバインやジゴキシンを含む一群の強心配糖体がNMDの強力な阻害物質であるという意外な結果が得られた。強心配糖体が仲介するNMDへの作用は、細胞膜のNa+,K+-ATPアーゼへの結合と阻害と、その結果起こる細胞内カルシウム量の上昇によっている。小胞体からのカルシウム放出の誘導も、NMDの阻害につながる。従って、この研究は細胞内カルシウムがNMDの重要な調節因子であることを明らかにしており、疾患治療へのNMDの使用に関係がある。

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