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がん:小細胞肺がんにおける循環腫瘍細胞の腫瘍形成能および遺伝的プロファイリング

Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3600

小細胞肺がん(SCLC)は浸潤性の神経内分泌腫瘍で、早期に播種が起こり、予後が不良である。SCLCは肺がん症例の15〜20%を占め、毎年ほぼ20万人がこのがんによって死亡している。SCLC症例のほとんどは手術不適応であり、SCLCの生物学的特性を調べるための生検試料はごくまれにしか得られない。SCLCで広く見られる循環腫瘍細胞(CTC)は、容易に調べられる「液体生検」試料となる。本論文では、化学療法感受性もしくは抵抗性のSCLC患者に由来するCTCが免疫不全マウスで腫瘍形成能を示すこと、またこうして得られたCTC由来の外植片(CDX)のプラチナ製剤およびエトポシドを用いた化学療法に対する応答は、CTCドナー患者のこれらの療法に対する応答と非常によく似ていることを明らかにする。単離CTCのゲノム解析から、CTCとそれに対応するCDXとのかなりの類似性が明らかになった。臨床転帰がさまざまに異なる患者に由来するCDXの間では、顕著な違いが認められた。これらの結果は、連続採血で得られるCTCの分子レベル解析がSCLCに対する個別化医療の実現を容易にする可能性を実証している。CDXの継代培養は容易であり、この珍しいマウスモデルは、治療法の検証や薬剤抵抗性の機序解明を行うための操作しやすい系となるだろう。

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