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骨疾患:アスフォターゼαは神経繊維腫症1型のマウスモデルで骨の成長、石灰化、強度を向上させる

Nature Medicine 20, 8 doi: 10.1038/nm.3583

神経繊維腫症1型(NF1)患者に生じることがある局所の骨格形成異常には、いまだ確立された治療法がない。NF1は、RAS GTPアーゼ活性化タンパク質のニューロフィブロミンをコードするNF1遺伝子の変異によって引き起こされる。本論文では、骨形成細胞でのNf1の破壊がハイドロキシアパタイト形成の強力な阻害因子であるピロリン酸(PPi)の非生理的蓄積につながること、またEnpp1AnkなどのPPi合成と細胞外輸送を促進する遺伝子の発現の、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)依存的な慢性的上昇が、こうした表現型を誘導することを明らかにする。Nf1破壊はまた、骨形成タンパク質2に誘導される骨前駆細胞の分化と、その結果起こるアルカリホスファターゼ発現とPPi分解を抑制し、PPi蓄積をさらに助長している。一方、骨軟骨前駆細胞あるいは骨芽細胞でNf1を欠損するマウスで見られる短身長と骨石灰化障害および強度低下は、アスフォターゼα投与によりPPi濃度を減少させることで正常化できる。以上の結果は、ニューロフィブロミンが骨石灰化に必須の調節因子であることを確証しており、またNF1患者の骨格形成異常の一因はPPiの恒常性変化であって、NF1患者の骨格状態は部分的だが薬理学的に治療できる可能性を示している。

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