Editorial

患者の多様性を受け入れる

Nature Medicine 20, 7 doi: 10.1038/nm.3632

欧州および米国における現在の医薬品承認制度では、治療群で対照群に比べて明らかな有効性が認められることが認可に必要とされる。だが、自閉症スペクトラム症候群のように症状に極めて高い不均一性が認められるような疾患では、試験薬に対する応答性も大きくばらつくことが多い。このような不均一性の高い疾患に対して、効果があるのは一部の患者だけだが、投与された患者全てで安全性が確保されるような薬剤が認可されれば、患者は複数の薬剤を試用して、「ある程度まで」効果のある薬を手に入れることが可能になる。患者に効果のあるものが見つかるまで多数の薬剤を試用しなければならない疾患は他にもあるが、うつ病などの場合には選択肢となる薬剤が既に多数存在している。自閉症で一部の患者に効果のある治療薬が使えるようになれば、この種の薬の開発が加速し、選択肢の数が増えてくるだろう。認可に関する現行の法律は、臨床試験に参加する患者に不均一性があることを考慮して改正されるべきではないだろうか。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度