Technical Report

がん:広範囲にわたる患者を対象にして循環血中腫瘍DNA定量するための超高感度の手法

Nature Medicine 20, 5 doi: 10.1038/nm.3519

循環血中腫瘍DNA(ctDNA)は、腫瘍量を非侵襲的に評価するためのバイオマーカーとして期待されているが、既存のctDNA検出法は、臨床に広く適用するには、その感度、また対象となる患者の範囲が十分とはいえない。今回我々は、がんの大規模塩基配列解読法による個別化プロファイリング法(cancer personalized profiling by deep sequencing:CAPP-Seq)を開発した。これは、経済的に負担が少なく、超高感度のctDNA定量法である。我々は、非小細胞肺がん(NSCLC)について、95%を超える腫瘍で変異が確認された複数種の体細胞変化をカバーできるように設計したCAPP-Seqを実行した。ステージII-IVのNSCLC患者の100%、およびステージIの患者の50%でctDNAが検出され、特異性は変異対立遺伝子の割合がほぼ0.02%になるまで96%だった。ctDNAレベルは腫瘍量と高度に相関しており、残存病変と治療に関連する画像変化との識別が可能であった。また、ctDNA量を測定することで、X線撮影による検査よりも早い時期に治療反応性を評価できるようになった。我々はさらに、CAPP-Seqを使って生検なしの腫瘍スクリーニングおよび遺伝子多型解析を行い、結果を評価した。CAPP-Seqは、多様な悪性腫瘍の検出および経過観察に臨床で日常的に使用できる可能性があり、これによってがんの個別化療法が促進されると考えられる。

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