Technical Report

画像化法:多重イオンビーム画像化法によるヒト乳房腫瘍の解析

Nature Medicine 20, 4 doi: 10.1038/nm.3488

免疫組織化学(IHC)はタンパク質発現を可視化する手法の1つであり、固形組織の悪性腫瘍の多くで診断のための精密検査の一部として使われている。IHCの既存の手法では、蛍光色素分子で標識した抗体、もしくは有色色素を作り出す酵素レポーターを使う。しかし、これらのレポーターを同時に複数使うとスペクトルや空間位置が重なってしまうため、臨床では多重IHC法が日常的に使われることはない。我々は以前、二次イオン質量分析法を使って、同位体純度の極めて高い元素金属レポーターで標識した抗体を画像化する手法を開発した。多重イオンビーム画像化法(MIBI)では、5桁のダイナミックレンジにわたって最大で100種類の標的分子を同時に解析することが可能である。今回我々は、ホルマリン固定してパラフィン包埋したヒト乳房腫瘍組織切片を10種類の標識で同時に染色し、MIBIを使って解析した。得られたデータは、MIBIによって疾患発症機序を解明するための新しい手掛かりが得られることを示しており、それらの手掛かりは基礎研究、創薬および臨床診断に役立つと考えられる。

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