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サラセミア:アクチビン受容体IIAのリガンド捕捉剤はβサラセミアでの無効造血を正常化する

Nature Medicine 20, 4 doi: 10.1038/nm.3468

βサラセミアでの無効造血の病態生理学的性質はよく分かっていない。我々は、中間型βサラセミアのマウスモデルで、アクチビン受容体IIA(ActRIIA)のリガンド捕捉剤であるRAP-011が無効造血を改善し、貧血を治療し、鉄過負荷を制限したことを報告する。ActRIIAのリガンドであるGDF11(growth differentiation factor 11)の発現は、サラセミアマウスの脾臓赤芽球、βサラセミア患者の赤芽球と血清で上昇していた。GDF11を不活性化すると、酸化ストレスが軽減され、αグロビン膜沈着量が減少して、その結果赤芽球の最終分化が増加した。GDF11の異常発現は活性酸素種に依存しており、これはβサラセミアでの自己分泌型増幅ループの存在を示唆している。GDF11の不活性化はまた、Fas-Fasリガンド経路を介して未成熟赤芽球のアポトーシスを誘導することで未成熟/成熟赤芽球の比率異常を正常化した。まとめると、これらの結果は、ActRIIAのリガンド捕捉剤が、酸化ストレスとαグロビン沈着が関わる自己分泌型増幅ループを介して、赤芽球の最終成熟を阻害するサイトカインであるGDF11の有害作用を抑制しており、そのためにβサラセミアの治療に適用できる可能性を示している。

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