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肥満:Mfge8は食物脂肪や血清中脂肪酸の取り込みに関わることで肥満を促進する

Nature Medicine 20, 2 doi: 10.1038/nm.3450

脂肪酸はエネルギー貯蔵、細胞膜形成や細胞内シグナル伝達に必須のメディエーターである。脂肪酸の取り込みを調整する経路は完全には解明されていない。インテグリンのリガンドであるMfge8の発現は、ヒトの肥満や高脂肪食飼育マウスで増加するが、Mfge8が肥満に果たす役割は分かっていない。本論文では、Mfge8が食物由来のトリグリセリドの吸収や脂肪酸の細胞への取り込みを促進すること、またMfge8欠損(Mfge8−/−)マウスは食餌誘導性肥満、脂肪肝やインスリン抵抗性を起こしにくいことを示す。その機構として、Mfge8はホスファチジルイノシチド3-キナーゼとmTOR複合体2によるαvβ3インテグリンおよびαvβ5インテグリン依存性のAktリン酸化によって、Cd36とFtap1を細胞質内小胞から細胞表面へ移動させて、脂肪酸の取り込みを調整していることが分かった。まとめると、これらの結果は、Mfge8が食物脂肪の吸収や貯蔵の調節に役割を果たすのに加えて、肥満やその合併症の発症にも関わっていることを示唆している。

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