Editorial

未承認薬の人道的使用の原則を考える

Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3772

研究中の新薬が患者の命を救ったり、あるいは生存期間を延長したりすることがある。症状が極めて重篤で生命が脅かされている患者が試験中の新薬を使用できることは米国では2009年に成文化されているが、患者がこうした薬を使用するのは実は非常に難しい。それは製薬企業が臨床試験以外での使用に薬を提供するのを、さまざまの理由で拒否するからである。「人道的使用」をもっと容易にできるようにしてほしいという一般からの圧力の高まりを受けて、米国の5つの州ではこの「試す権利」が法制化されたが、その内容からすると実効があるかは疑問で、またこうした規制は臨床試験システムを危うくする危険性もある。このような生死を分ける問題については、製薬企業だけに決定権を委ねるのはやめて、製薬企業と規制側の両方が現実に即した対策を立てるべきだろう。FDAは監督を強化し、臨床試験システムの本来の使命、つまり「安全で有効な薬をできるだけ多数の患者に、できるだけ迅速に届ける」という使命の実現に努力してもらいたい。

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