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免疫:CTLA4変異を持つヒトにおける常染色体優性免疫調節異常症候群

Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3746

CTLA-4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)タンパク質は免疫応答の重要な負の制御因子であり、マウスではこれが欠損すると致死性の自己免疫が引き起こされる。我々は、低ガンマグロブリン血症や反復性の感染、また自己免疫の多数の臨床症状を呈する複雑な常染色体優性免疫調節異常症候群の患者が5人いる大家系について解析を行い、CTLA4の第1エキソンにヘテロ接合性のナンセンス変異があることを見いだした。類似する臨床像を呈するが血縁関係のない患者71名についてスクリーニングを行い、CTLA4にこれまでに報告のないスプライス部位変異とミスセンス変異を持つ家系がさらに5つ(9名)見つかった。臨床的な浸透度は不完全で、CTLA4に変異が生じていることが遺伝学的に確認された全19名の変異保有者のうち、成人8名には症状が認められなかった。しかし、CTLA-4タンパク質の制御性T細胞(Treg細胞)での発現は、CTLA4変異を有する患者と保因者の両方で低下していた。患者と保因者では、Treg細胞の数は概して増加していたが、その抑制機能や、CTLA-4のリガンドであるCD80との結合性およびCD80のトランスエンドサイトーシスは障害されていた。CTLA4の変異は、循環中B細胞の数の減少とも関連していた。まとめると、CTLA4に生じた変異は、CTLA-4のハプロ不全やリガンド結合障害を引き起こし、その結果としてT細胞およびB細胞の恒常性が破壊されて、複雑な免疫調節異常症候群を来す。

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