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神経変性疾患:UNC5Cの稀な変異は遅発性アルツハイマー病の素因を作り神経細胞死を増やす

Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3736

我々は、遅発性アルツハイマー病が多発する2つの家系で、常染色体優性形式で疾患と共に分離する、UNC5Cネトリン受容体遺伝子のコード領域中にある稀な変異T835M(rs137875858)を見いだした。この変異は、4つの大規模な症例対照コホートにわたって、アルツハイマー病と関連していた(オッズ比=2.15、Pmeta=0.0095)。T835MはUNC5Cのヒンジ領域にある保存された残基を変化させる。in vitro実験では、この変異はヒトHEK293T細胞および齧歯類のニューロンで細胞死を増加させることが明らかになった。さらに、T835M UNC5Cを発現するニューロンは、β-アミロイド(Aβ)、グルタミン酸、スタウロスポリンなどの複数の神経毒性刺激による細胞死を起こしやすくなる。これらのデータに加えて、成体神経系ではUNC5C発現量が海馬で多くなっていることから、T835M UNC5Cが、神経細胞死への感受性上昇、特にアルツハイマー病の脳の脆弱な領域における感受性上昇によりアルツハイマー病リスクに関わるという機構が考えられる。

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