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神経変性疾患:マイクロRNA-124とAMPA受容体の異常は、前頭側頭型認知症で見られる社会行動異常の一因である

Nature Medicine 20, 12 doi: 10.1038/nm.3717

前頭側頭型認知症(FTD)などの神経変性疾患は行動異常を伴うことが多いが、その基盤となる解剖学的原因、また分子レベルでの原因はほとんど明らかになっていない。今回我々は、FTDに関連する変異であるCHMP2Bをマウスの前頭選択的に発現させると、社会行動異常を含む複数の年齢依存的神経変性表現型が引き起こされることを示す。社会機能異常は、AMPA受容体(AMPAR)の構成変化を伴い、これがCa2+透過性AMPARとCa2+不透過性AMPRのアンバランスにつながる。ほとんどのAMPARサブユニットの発現は、脳に豊富に存在するマイクロRNA miR-124により調節されており、変異型CHMP2Bを発現するマウスの大脳皮質浅層ではmiR-124の発現が顕著に減少していた。行動型FTD患者の前頭皮質および患者由来の人工多能性幹細胞から作製されたニューロンでは、miR-124とAMPARレベルに同様の変化が見られた。さらに、変異マウスの内側前頭前皮質でmiR-124を異所的に発現させると、AMPARレベルが低下して行動異常が部分的に改善された。またAMPARサブユニットGria2のノックダウンも、社会機能障害を軽減した。我々の結果は、miR-124とAMPAR がFTDでの社会的行動調節に関わるという、これまで未知の機構を明らかにしており、治療法につながる道を示している。

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