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血液学:巨核球はCXCL4の分泌を介して造血幹細胞の静止状態を調節する

Nature Medicine 20, 11 doi: 10.1038/nm.3707

骨髄では、造血幹細胞(HSC)は特殊な微小環境に存在している。この微小環境はHSCの増殖を厳密に制御し、血球補充に対するさまざまな要求に対応する一方で、HSCの枯渇も防いでいる。これまでに示唆されたニッチ候補細胞は、全て非造血系起源のものである。従って、成熟細胞からのフィードバックがどのようにHSCに伝達されてその増殖を調節するのかは不明であった。我々は、マウスで巨核球(MK)がHSCプールのサイズを直接調節することを見いだした。三次元ホールマウント画像化技術により、内在性のHSCは、ランダムではなく高頻度でMKに隣接していることが明らかになった。in vivoでMKを選択的に欠損させると、HSCの静止状態が特異的に失われ、機能的HSCの顕著な増殖につながった。遺伝子発現解析により、MKが骨髄でのCXCL4〔chemokine C-X-C motif ligand 4、別名PF4(platelet factor 4)〕の供給源であることが明らかとなり、また我々はCXCL4がHSCの細胞周期活性を調節していることを見いだした。CXCL4をマウスに注入すると、HSCはより多くが静止状態に留まるため、その数が減少した。それに対して、Cxcl4欠損マウスでは、HSC数の増加とHSC増殖の亢進が認められた。ホールマウント画像化技術とコンピューターモデルを組み合わせた手法により、巨核球ニッチが静止状態の調節により、独立してHSCの維持に影響を与え得ることが強く示唆された。以上の結果は、HSCに由来する最終分化した細胞種がHSCニッチに関わり、直接的にHSCの動態を調節することを示している。

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