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大腸がん:細胞表現型と治療応答を関連づける大腸がん分類システム

Nature Medicine 19, 5 doi: 10.1038/nm.3175

大腸がん(CRC)は、がんによる死亡の主原因の1つである。一部の患者は治療によく応答するが、そうではない患者もいるため、より的確な個別化治療戦略が必要である。こうした目的で、我々は合意ベースの教師なしクラスタリングを用い、1,290個のCRC腫瘍について遺伝子発現プロファイルを解析した。そして、これから得られたクラスターを、80人の患者の上皮増殖因子受容体標的薬セツキシマブに対する治療反応データと関連づけた。このような解析の結果、臨床的な6つのCRCサブタイプが明らかになった。各サブタイプは、正常な結腸陰窩内に存在する別々の細胞型に対する類似性を共有しており、「幹細胞性」とWntシグナル伝達の程度が異なっている。また、これらのサブタイプのどれに相当するかを識別するためのサブタイプ特異的な遺伝子シグネチャーを示した。3種のサブタイプでは、切除手術後の無病生存率(DFS)が他のタイプに比べて著しくよく、局所性疾患であった場合は、化学療法の有害な副作用を経験しないで済む可能性がある。これら3つのサブタイプのうちの1つはフィラミンAの発現により見分けられ、セツキシマブには反応しないが、転移治療の場合にはcMET受容体チロシンキナーゼ阻害剤に応答する可能性がある。他の2つのサブタイプはDFSが悪いか中程度で、アジュバント療法あるいは転移治療での化学療法FOLFIRIに対するよりよい応答性と関連する。これらのサブタイプに対する臨床適用可能な検査法や、サブタイプ特異的な治療法が開発されれば、この難しい疾患に対してより効果的な管理を行うのに役立つだろう。

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