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神経疾患:Tsc1(ハマルチン)はオートファジーの誘導により虚血からニューロンを保護する

Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3097

虚血カスケードを研究しそれを抑える方法を考案することでニューロン保護のための標的を同定しようとするこれまでの試みは、急性虚血性脳卒中に対する効果的な治療法にはつながらなかった。我々は、全体的虚血に対するCA3海馬ニューロンの抵抗性と虚血プレコンディショニング(IPC)によりもたらされる耐性という、2つの確立された例で働いている内因的ニューロン保護の分子決定因子を調べれば、神経保護のための新たな標的が明らかになるのではないかと考えた。海馬CA3ニューロンでは、虚血により TSC1(tuberous sclerosis complex 1)遺伝子の産物であるハマルチンが選択的に誘導されることがわかった。CA1ニューロンでは、ハマルチンは虚血によっては影響を受けなかったが、虚血に先立つIPC(脆弱なCA1細胞を保護する)により発現が上昇した。TSC1 shRNAウイルスベクターを使ったハマルチン発現の抑制は、in vitroでもin vivoでも、低酸素低グルコース負荷(OGD)や虚血の後の細胞死に対するニューロンの脆弱性を増加させた。in vivoでは、TSC1発現抑制は、海馬に依存する課題での運動活性を上昇させ、慣れを低下させた。ハマルチンの過剰発現は、mTORC1依存的機構を介して生産的なオートファジーを誘導することにより、OGDに対する抵抗性を増大させた。

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