Technical Report

遺伝子治療:抗原特異的TCRのTCR遺伝子キャプチャーによるハイスループット同定法

Nature Medicine 19, 11 doi: 10.1038/nm.3359

T細胞受容体(TCR)遺伝子の患者T細胞への導入は、ウイルス感染症とがんの両方に対して有望視されている治療法である。これらの疾患の治療のために抗体を同定する効率の良い方法はすでに存在するが、TCRの同定に関してそれに匹敵する方法はまだ開発されていない。我々は、DNAを使ってTCR塩基配列を明らかにするハイスループットな戦略を開発した。これは、TCR遺伝子をコードするゲノムDNA断片をキャプチャーして塩基配列を解読することによっている。この方法の有用性は、がん生殖細胞系列腫瘍抗原反応性TCRの大規模ライブラリーを組み立てることで確認できた。さらに、TCR遺伝子キャプチャーの定量的性質を用いることで、ヒト材料やTCRヒト化マウスに由来するオリゴクローナルT細胞集団中での抗原特異的なTCR同定が実現可能なことが示された。また、抗原特異性が分からなくても腫瘍内T細胞サブセット中の腫瘍反応性TCRを同定できることが明らかになった。この結果は、ヒトがん中の患者特異的な新抗原を標的とする自己TCR遺伝子治療の開発に向けた最初の一歩となるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度