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血管生物学:オートファジーは血管内皮細胞でのフォンビルブラント因子の切断、成熟および分泌を制御する

Nature Medicine 19, 10 doi: 10.1038/nm.3288

ワイベル・パラーデ小体(WPB)として知られる細胞内小器官に由来するフォンビルブラント因子(VWF)の血管内皮細胞からの分泌は、傷害を受けた血管壁に血小板が接着するのに必要である。本論文では、WPBはオートファゴソームの近傍あるいはその内部に存在することが多く、また内皮細胞オートファゴソームの中には多くのVWFタンパク質が含まれることを示す。オートファジー阻害薬の投与、もしくはオートファジーに必須の遺伝子であるAtg5あるいはAtg7のノックダウンは、in vitroでのVWF分泌を抑制する。さらに血管内皮細胞特異的にAtg7を欠損するマウスでは、血管構造や毛細血管密度は正常であるが、エピネフリン刺激によるVWF分泌の障害、高分子量VWFマルチマーの減少、およびそれらに一致する出血時間の延長が見られる。血管内皮細胞特異的にAtg5を欠損するマウス、あるいは阻害薬投与によってオートファジーフラックスを抑制したマウスでも、同様にin vivoで止血の変化が観察された。したがって、オートファジーは血管内皮細胞からのVWF分泌を調節しており、また薬剤によるオートファジーフラックスの一過的阻害は血栓性事象を防ぐ有用な方法かもしれない。

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