Technical Report

糸球体:多光子画像化法によって明らかになった、糸球体への白血球動員の新たな理論的枠組み

Nature Medicine 19, 1 doi: 10.1038/nm.3024

糸球体は、多くの毛細血管床とは対照的に、白血球の動員をただちに支援する。しかし、糸球体へ動員された後の白血球の働きについてはほとんどわかっていない。我々は多光子共焦点顕微鏡を用いて、糸球体の微小血管系内での白血球の挙動を調べた。正常な糸球体では、好中球や単球が毛細血管内に、静止状態もしくは血管内遊走状態で数分間とどまる。糸球体に炎症を引き起こすと、白血球が静止および遊走状態でとどまる時間が長くなった。免疫複合体の沈着に応答して、静止状態と遊走状態の好中球は共に、炎症を起こした糸球体内でMac-1依存性の機構によって酸化体を生成した。これらの結果は、糸球体炎症の新しい理論的枠組みを明らかにしており、急性炎症の主要な影響が、糸球体での白血球維持の長期化であることを示唆している。さらに、これらの知見から、これまでに知られていなかった種類の、単球と好中球の両方がかかわる多細胞性の血管内パトロールも明らかとなった。こうしたパトロールが、糸球体が炎症を起こしやすいことの基盤となっている可能性がある。

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