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白質萎縮症:マウスのペリツェウス・メルツバッハー病のコレステロール強化食による治療

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2833

PLP1(proteolipid protein gene 1)の重複と、それによって起こるオリゴデンドロサイトでのミエリンタンパク質PLP(別名DM20)の過剰発現は、治療選択肢のない致死的な白質萎縮症であるペリツェウス・メルツバッハー病(PMD)の最もよく見られる原因である。PLPはコレステロールに結合し、膜脂質ラフトのマイクロドメイン内に取り込まれる。中枢神経系でのミエリン合成では、コレステロールの利用可能性が律速因子となる。Plp1遺伝子の余剰コピーを持つトランスジェニックマウスは、PMDを正確に模倣するモデルである。このようなマウスでは、髄鞘形成異常とその後の脱髄、二次性炎症および軸索傷害が、重度の運動障害の原因の一部となっている。Plp1遺伝子を導入したオリゴデンドロサイトでは、PLPおよびコレステロールが後期エンドソームおよびリゾソーム(エンド/リゾソーム)に蓄積したことから、我々はコレステロールがPMDで果たす役割についてさらに検討することにした。本論文では、コレステロール自体が正常なPLP輸送を促進し、食餌中のコレステロールはPMDの病態に影響を与えることを明らかにする。前臨床試験では、PMDマウスにコレステロールを強化した食餌を与えた。これによってオリゴデンドロサイトの数が回復し、細胞内へのPLP蓄積が低減した。さらに、ミエリン含量が増加し、炎症と神経膠症が軽減し、運動障害が改善された。コレステロール投与は、臨床症状が見られるようになった後でも、疾患の進行を防止した。食餌中のコレステロールは、Plp1の過剰発現を低下させることはないが、ミエリン膜へのPLPの組み込みを促進した。今回の結果は、PMD患者に対する治療介入に関係してくる可能性がある。

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