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炎症:マイクロRNAのmiR-23bはTAB2、TAB3およびIKK-αを標的にしてIL-17に関連する自己免疫性炎症を抑制する

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2815

インターロイキン17(IL-17)のような炎症性サイトカインは、炎症性自己免疫疾患を助長する。いくつかのマイクロRNA(miRNA)は、リンパ球の発生と機能に影響を与えて自己免疫の発症を調節することが明らかになっているが、炎症病変部に存在する常在細胞中のmiRNAの役割は不明である。今回我々は、ループスもしくは関節リウマチの患者の炎症病変部、およびループス、関節リウマチあるいは多発性硬化症のマウスモデルの炎症病変部でmiR-23b発現が低下していることを示す。IL-17は、ヒト繊維芽細胞様滑膜細胞、マウス初代培養腎臓細胞およびアストロサイトでmiR-23bの発現を低下させ、また自己免疫発症の際のmiR-23b発現低下に不可欠である。さらにmiR-23bは、IL-17、腫瘍壊死因子α(TNF-α) もしくはIL-1βによって誘導されるNF-κB活性化と炎症性サイトカインの発現を、TAB2(TGF-β-activated kinase 1/MAP3K7 binding protein 2)、TAB3およびIKK-α(inhibitor of nuclear factor κ-B kinase subunit α)を標的とすることによって抑制し、その結果として自己免疫性の炎症を抑える。したがって、IL-17は放射線抵抗性細胞におけるmiR-23bの発現抑制、および炎症性サイトカインの発現促進によって自己免疫の発症にかかわっている。

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