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ウイルス感染:B型肝炎ウイルスにより誘導される脂質変化はナチュラルキラーT細胞依存性の防御免疫に関与する

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2811

成人の大部分で、B型肝炎は一生の間続く防御免疫を引き起こす自己限定性疾患であり、こうした免疫はB型肝炎ウイルス(HBV)感染後数週間で生じる強力な適応免疫応答の結果である。HBV特異的T細胞は感染後まもなく検出されることがあるが、この早期の免疫プライミングの基盤となる機序およびその後のウイルス複製の制御に対する影響についてはよくわかっていない。我々は、ヒトとマウスの初代肝細胞と、遺伝子導入もしくはアデノウイルスによってHBVを発現させたマウスモデルを使って、HBVを発現する肝細胞がリゾリン脂質などの、小胞体に関連した内在性の抗原性脂質を産生することを明らかにした。これらの脂質は、HBVによって誘導される分泌型ホスホリパーゼによって生成され、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化する。NKT細胞もしくはCD1dの欠損、あるいはCD1dへの小胞体関連脂質輸送が欠損すると、マウスでHBV特異的なTおよびB細胞応答の減弱とウイルス抑制の遅延が生じる。したがってNKT細胞は、HBVが誘導する修飾された自己脂質を感知することにより、HBV感染の抑制にかかわっている可能性がある。

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