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筋萎縮症:ウイルスによるmiR-196aの遺伝子導入はCELF2の発現抑制を介してSBMAの表現型を改善する

Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2791

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体のポリグルタミン(polyQ)鎖の伸長(AR-polyQ)によって引き起こされる遺伝性神経変性疾患である。SBMAの特徴には、近位筋の萎縮、筋力低下、繊維束性収縮および球麻痺症状などがある。マイクロRNA(miRNA)は、よく保存されている小分子RNAでさまざまな種類があり、動物および植物で遺伝子発現の重要な調節因子として機能する。miRNAの機能を解析した最近の研究では、特定のmiRNAがin vitroおよびin vivoのいずれでも病態を修飾する強力な因子となることが示されており、そのため、miRNAのプロセシング経路を標的とする治療法の可能性が最近注目を集めている。本論文では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを介した特定のmiRNAの遺伝子導入によるSBMAの新規治療法について報告する。我々は、miR-196aがCELF2(CUGBP, Elav-like family member 2)の発現抑制によって、AR mRNAの分解を高めることを見いだした。CELF2は直接AR mRNAに作用し、AR mRNAの安定性を高めていた。さらに、AAVベクターを用いたmiR-196aの遺伝子導入による早期介入がマウスモデルでのSBMA表現型を改善することも見いだされた。我々の結果は、疾患特異的なmiRNAの遺伝子導入が他の神経変性疾患でも有用である可能性を確証するものである。

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