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ウイルス:エフリン受容体チロシンキナーゼA2はカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスに対する細胞受容体である

Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2805

カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は、リンパ系内皮細胞から発生し顕著な血管形成を伴う腫瘍のカポジ肉腫、そして少なくとも2種類のB細胞悪性腫瘍の原因病原体である。ヘルペスウイルスが宿主細胞に侵入するには、エンベロープ糖タンパク質のHとLにより形成される二量体複合体(gH-gL)が必要である。本論文では、エフリン受容体チロシンキナーゼA2(EphA2)がKSHV gH-gLの細胞受容体であることを示す。EphA2はgH-gLおよびKSHVビリオンのいずれとも共沈した。FACS解析により測定を行った結果、GFP発現組換えKSHV株のヒト上皮細胞への感染が、EphA2の過剰発現により増加するとわかった。EphA2に対する抗体およびEphA2を標的とするsiRNAは、内皮細胞へのKSHV感染を阻害した。KSHVを可溶性EphA2で前処理すると、KSHV感染は最大90%まで抑制された。KSHV感染のこの顕著な減少は、本研究で使用したさまざまな上皮細胞、内皮細胞のすべてで観察された。同様に、可溶性EphA2リガンドであるエフリンA4で前処理した上皮細胞あるいは内皮細胞では、KSHV感染が障害された。EphA2をコードする遺伝子の枯渇によって、マウス内皮細胞でのKSHV感染が本質的に消失した。gH-gLのEphA2への結合は、KSHV侵入の主要経路であるEphA2のリン酸化とエンドサイトーシスを引き起こした。定量的RT-PCRおよびin situ組織化学的解析により、ヒトカポジ肉腫病変あるいは健常ヒトリンパ系内皮細胞由来の培養細胞、そしてin situカポジ肉腫標本の両方で、KSHV感染とEphA2発現の間の密接な相関が示された。以上の結果は、血管新生と発がんにおける機能が知られているチロシンキナーゼのEphA2がKSHVの侵入受容体であることを明らかにしている。

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