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肥満:NF-κB誘導キナーゼは、グルカゴン作用の増強により肥満状態における高血糖および耐糖能低下を促進する

Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2756

IKK-β(inhibitor of nuclear factor κB kinase subunit β)—NF-κB1(nuclear factor of κlight polypeptide gene enhancer in B cells 1)シグナル伝達経路はインスリン抵抗性を促進することが十分に立証されている。しかし、非古典的なNF-κB誘導キナーゼ(NIK)-NF-κB2経路の肥満における役割は明らかになっていない。加えて、インスリンに拮抗するホルモン、特にグルカゴンの肥満状態で見られる高血糖における役割も不明である。今回我々は、NIKが肥満におけるグルカゴン応答を促進することを示す。食餌性あるいは遺伝性の肥満のマウスでは、肝臓でNIKの異常な活性化が認められた。NIKをコードするMap3k14遺伝子の全身性欠損は、グルカゴン応答低下と肝臓でのグルコース産生(HGP)低下をもたらす。肥満ではグルカゴンの過剰応答が認められ、肝臓特異的なNIKの阻害は肥満マウスでグルカゴン応答低下およびHGP低下を誘導し、結果として高血糖および耐糖能低下が防がれた。反対に、肝細胞特異的なNIKの過剰発現は、グルカゴン過剰応答およびHGPを惹起した。単離したマウス肝臓と初代培養肝細胞でも、NIKはグルカゴンの作用およびグルコース産生を促進し、少なくともその作用の一部は、cAMP応答配列結合タンパク質(CREB)の安定性増加によるものだった。したがって、肥満状態で見られる肝臓NIKの過剰活性化は、CREBを活性化するグルカゴンなどの因子によって誘導される高血糖応答の増大により、高血糖および耐糖能低下を促進する。

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